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老いた母親の世話きっかけ - 渡部田鶴子の婚活ノート -

珍しい再婚 これも縁

2010年12月25日 長野市民新聞掲載

 Mさん夫婦から、今年もお正月用にと寄せ植えの一鉢を届けていただいた。これまでも葉ボタンやフクジュソウなど手の込んだ鉢だった。今年は売っているような素晴らしい鉢をと、秋から山には入り、岩やこけ、松の根元に育っている若木など集め、1日がかりで6鉢も仕上げて自信作を配ったそうだ。南天の赤や寒菊を根本にあしらい、竹と梅の枝ぶりも化粧砂の白、紺の平鉢に調和している。見事な鉢に感動してしまい、うれしかった。
 その前の10年ほどは、門松をいただいた。近くの山の三段松の枝ぶりの良いのを取ってきて、ごぼう締めに御幣も付けていただいた。最近の町場では、どの家も美しい正月飾りに変わってきたから―などと、小盆栽を頂くようになった次第。Mさんは、野菜作りと山野草に熱心で、写真集を出版するのが夢だ。
 そんなMさんたちと、もう15年ほどのお付き合いになる。知り合ったころMさんは50歳。元気な働き者のお母さんは70歳すぎだったと思う。父は亡く、2人暮らし。母親は冬の朝、凍った庭先でて転んで骨折してから寝たり起きたりの生活になった。Mさんは勤めながらの世話は大変なり、遠方に嫁した姉や妹は日常には頼れない。今のように福祉の支援も不十分で、困った末の依頼を受けた。
 すぐには相性の良い方がおらず、営業で町中を回っているS子さんに当たったところ、買い物ぐらいならやってあげてもよいという。Mさん宅を訪問したら、Mさんの母親にはS子さんの母親の面影があり、すっかり親しくなった。中学生だったS子さんの娘も出入りし、母子家庭で育っている娘はおばあちゃんが大好きに。そして娘の進学で1人になったS子さんはMさんと正式に再婚した。変わった経過をたどったケースである。
 相手の男性本人より、お母さんとまず親しくなって交流の末、家族になったのはこの例以外にはない。そして、そうした嫁に感謝したMさんの人柄が導いた不思議な出会いだ。退職後の今のMさんは、年金生活で田畑を守り、山間の地に静かに2人で暮らす毎日。
 しかし、今年はサルやイノシシが増え、田に入って暴れられると、収穫した米を炊いても泥臭くて食べられないという。実るそばからサルがトウモロコシやスイカを食い散らし、最近は山間地の暮らしについて考え込んでいる。近所の人も1人、2人と去り、20軒ほどの集落も今は4軒だけ。2人の暮らしものどかとばかりと言ってはおられず、「限界集落の現実もあるのだなあ」と、お茶のときの話題にもなる。それでももうして今年も新年の準備ができた2人ではあったのです。