今年の「もみじ狩り」は志賀高原と決め、一泊で下見に行った。
秋晴れでリンゴはたわわに実り、稲刈り盛んな田舎道を上る。まだ紅葉は見当たらないが、1ヵ月後はちょうど見ごろだろうか。美しかった昨年の妙高高原行きを思い出しながらホテルに着くと、紅葉は10日ほど遅れるだろうという。
5階の部屋に落ち着くと前庭で合宿の大学生の混声合唱が始まる。窓から身を乗り出して聴き終えると、その後はホールで軽音楽。泊まり客が集まる。旅の思い出となった。
新潟ナンバーの車が15台も並んでいたのは、この大学生一行のだったらしい。こんな時間の流れもいいものだと思った。
翌朝、朝食は広いレストランで学生やツアー客らと一緒。バス組がさっと引き揚げて、にぎやかな学生も退出すると、高齢者の姿があちこちに。孫連れの三世代組や、娘さん夫婦付き添いの老人組だった。60歳以上限定の敬老割引き月間の泊まり客のカップルなどだった。
70-80代とも見えるカップルなどもそれなく観察しながら、それぞれの来し方はどんなだったのだろうと思う。苦労の末の穏やかな今日であるのか、シニアになっての第二の幸せ組なのか…。いずれにしても、ゆったり幸せな老後であってほしいもの。
当所に相談に訪れる女性の多くは、やっと子供の将来に目鼻が付いたので、今度は自分のことを考えたい。2人でゆっくり温泉にでも行ったり旅行したい―との希望を語る。いつまでも働けないのだから、子供たちの荷物にならぬように何とか今のうちに気の合う方に巡り合いたいと、婚活に励む。
特に最近はそのような考え方で前向きな人が多くなったと感じている。来年に予定の恒例のシニアの「もみじ狩り」の申し込みは、すでに定員に達するほどだ。80歳以上が800万人を突破し、100歳の人生も人生も夢でない昨今の寿命の延び。老後の有り余る長い時間をどう過ごすか。心豊かなたそがれは、おのおのの事情にもよるが、早めに心づもりをしておいた方が良いように思う。