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妥協できぬ「三高以上」 - 渡部田鶴子の婚活ノート -

おおらかに縁を考える

2010年9月11日 長野市民新聞掲載

 台風の雨で涼しくなったが、その前の気温34度という猛暑の午後、30代半ばの会社員の女性のご相談を受けた。彼女は「40歳までに第一子出産」の夢はもう無理そう―と悲しげに言う。
 彼女は今まで熱心に婚活を続けてみたが、どうしても理想の人にめぐり合えないという。その条件は「私を引っ張ってくれる人」「頼りがいがあって男らしく」「皆からの信頼も厚く」「楽しいタイプでその上センス良く」と三高以上のレベルを崩せないらしい。  お見合いパーティーやら合コンやら目につく機会のすべてに参加するが、ますます目が肥えて、物足りなく感じる自分をどうしようもない。
 こんなに条件を並べ立てて、現実にそれをクリアする男性がいると信じている彼女に、家族などのアドバイスはないのだろうか。完璧な結婚をしたい―と、理想的な人を追いかけているうちに年月がたってしまったのだ。
 我が身を振り返らず理想を手放さないままでは、とても早めの成婚の見込みはないだろう。譲れない条件が多く、絞り込みができない状態から抜け出して条件を見直す。そして「三高以上」のピンポイントを狙うことなく、自分はどういう人間なのか、そして努力しても誰からもオファーがないのはどうしてなのか、分析してみたらどうだろう。すきのない女性とみられ、寄りつきにくいムードがあるとすれば、男性も声を掛けづらいものだ。
 婚活ブームでその情報がはんらんする中で彼女がもみくちゃになってしまったのは気の毒ともいえる。落ち着いて周りをみれば気の合う人がいるかもしれないのに「一生懸命婚活したのに結果が出ない」と意気消沈することなのだろうか。
 今、急いで結婚ができないからといって永久に駄目とは限らず、早婚の人も、晩婚の人も、何度もする人もいる。恋愛もいつでもできる。人の縁をもっと大らかに考えてみたらどうだろう。
 このように本人だけでなく、親御さんまでも一緒になって「白馬の王子」を追いかけているケースもある。夢を追って自分の姿を見失うのではなく、まず自分を知ることから始め、どんな相手が自分と合っているかを知る方が先決。自分のどこを相手にアピールしたらいいのか、それを考えればおのずと相手の姿も見えてくるはずである。案外、幸せは身近なところにあるのではないだろうか。