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消え去った娘の幸せ - 渡部田鶴子の婚活ノート -

結婚間近に親が横やり

2010年7月10日 長野市民新聞掲載

 一人娘のS子さんは高校の部活を通じて先輩と仲良くなり、将来を誓い合う仲に。彼は大学、S子さんは短大を出て働きだすと、3、4年後を目安に結婚を考えながら2人で貯金。ハネムーンは南の島へ・・・と乙女チックな充実毎日だった。
 S子さんが両親に打ち明けたところ、父は松本勤務の彼に猛反対。「跡取り娘が、大企業とはいえ松本に離れている相手とは何事だ」と、取り付く島もない。母はワンマンの父におどおどするばかりで、「まだ若いのだから次を考えなさい」と、何の力にもならない。悲恋ドラマさながらにS子さんは涙にくれた。そしてそのときから両親とは断絶状態になってしまった。
 その後、沈んだ気分を引きずるままに情熱は次第にうせ、彼も仕事に追われて連絡のメールも途切れがちになった。一人っ子は損だと悲しい思いもした。「かわいそうに。もう修復可能な時間は過ぎてしまったのだ」と、私は心から同情した。
 あれから10年。35歳のOL生活を送るS子さんは夏休みに今年2度目の海外旅行をする。ツアーで知り合って5、6年になる静岡のOLとは、同じ悩みを抱え話が合う。そんな2人は今年も成田で落ち合い、世界遺産巡りである。
 そんなS子さんは今でも父母と顔を合わせたくない。特には母の小言や嘆き、くどいお説教は聞きたくない。会社帰りはカルチャー講座に寄ったり、デパートや店をのぞき、プールにも通って、自宅の夕食が済んだところを見計らってそっと帰る。ふきんを掛けたお盆のご飯を済ませて入浴。そのまま自分の部屋に引きこもる。気まずい食卓には座りたくないのだ。
 こんな味気ない毎日になるとは・・・。夢いっぱいだった10年前には思いもしなかったこと。順調に事が進んでいれば、今ごろ子育てに忙しいママをしていただろう。実家も孫たちの出入りで両親も楽しい老後だったと思うのだが…。過ぎ去ったあのころが懐かしい。
 母は最近、いとこの結婚が決まり、S子さんの仲良しが2人目のお産に里帰り中-といった情報を得てうらやましがり、それが高じてうつ状態になっている。娘の結婚が決まらないのは自分に責任があり、恥ずかしい-などと悩んでもいる。
 当時一喝、問答無用だった父も大分老いの影が見えてきた。父親のエゴに縛られたS子さんは、周囲や家族の犠牲になった一例といえる。今となっては手遅れで、真剣に相談する機会もなく、養子を求める親の強引な意思のあまり「何が幸せか」を見極めることができなかった。娘の人生の在りよう、本質を見ようとしなかった親御さんの反省材料になればと思う。