子供を心配して電話をかけてくるのは決まってお母さんである。また、おばあちゃんからは、お孫さんの相談も。時には電話が1時間に及ぶことすらあり、「いつまでも結婚が決まらぬ子供」に対する親御さんの悩みは尽きない。
そこでいろいろ聞いていると、ほとんどは息子のお嫁さんは「35歳までの女性を」という注文。息子はすでに40歳代の大台をはるかに過ぎて50歳に近い場合でも、まず子供がほしいという親子の願望から、お嫁さんの年齢が重要事項となる。
長男の場合は、お嫁さんはいずれ家を継ぐ大事な孫を育ててくれる人。その安産を願うと若ければ若いほど良いという考えが主流だ。その点に固執して良いご縁も逃して今日に至ったと感じる例もある。その息子たちも母からの入れ知恵をうのみにして35歳までの女性を―と、婚活する。しかし40歳以上の男性がそう望んでも、なかなかうまくはいかない。
一方、女性の側もお相手選びは同年前後。大幅な年齢差は大恋愛でもしない限り実現味はなく、お見合いではマッチングしない。
あるお母さんは、先日やっとお話があって46歳の息子さんの最後のチャンスと乗り気になったものの、女性が43歳だったため悩み、お断りしたという。せっかくのお話を、会うこともせず年齢を問題にばかりしていては何とももったいない。そうそう続いて出るご縁ではないのに。
その72歳のお母さんは30歳までに3人の子供を産み、子育ても楽だったそうだ。高年齢のお嫁さんは困ります―と、昔のままの意識でいる。昔は結婚したら出産がセットで当り前のようだったが、子供がいない夫婦も珍しくはなく、皆のんびりとこだわらなかったように思う。「三年子なくば去る」などという封建時代とは違うのだから。
一方息子たちも年齢が上がるほどに周りの状況も変わり、理想が遠くなり出会いも少なくなって、もうどうでもよくなる。親とのあつれきで親子関係が断絶でもすれば、元も子もない。子供の結婚となると、どうしても母親が頑張りがちで、「こうでなければ」という枠を固め過ぎ、せっかくの出会いをつぶしているかもしれない。
子供の幸せを願い、親が必死になるのは恥ずかしいことではないのだが。