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リンゴ農家の嫁探し - 渡部田鶴子の婚活ノート -

村人がバックアップ

2010年4月24日 長野市民新聞掲載

 M子ちゃんが中学校の制服姿であいさつに来てくれました。彼女の一家と私の間には、いわば運命的なドラマがあって、それから20年ほどの時のうつろいが懐かしく思い出されます。
 きっかけは、お寺さんからの「檀家のリンゴ農家にお嫁さんを紹介してほしい」との依頼でした。私は農家や山村方面はお受けしないのでと、再々お断りしても「ワシが保証する。村一番の好青年だ」とあまりに熱心。
 そのK青年と会うことにしたら、軽トラックで風のように駆け付けて来て、持参のいろいろなリンゴやブドウの味比べをすすめるのです。畑が好きで果樹農家の楽しさを説く彼は、土のにおいの染み込んだ純朴な明るいタイプ。誠実さに好感が持て、私も何とか良いお嫁さんをと努力を約束しました。
 しかし一対一のお見合いでは、とても農家を希望する女性は見当たらず、当所主催の若者限定「お見合いパーティー」に毎月出席してもらうことにしました。まず外見を磨く、服装のセンスや髪のセット、会話術も。幸い1年ほど後に両思いのカップルになった女性が都会出身のN子さんでした。
 彼は万歳するほどに喜んで、何とか成婚したいと願い、一世一代の大芝居とばかりにちょうど花盛りのリンゴ畑を案内。村の中を一巡し中学、高校の母校を見せ、母の眠るお墓参りをし、父の待つ家へ。後はOKをもらうばかりだったと後で聞いて、悲願達成へ大まじめに努力する彼らしいと思ったものでした。
 兄たちは遠方に出てしまい、末っ子の彼と老父だったのでとんとんと決まるはず。が、N子さんの実家では大反対となりました。雪も降らぬ地の育ち、苦労な農業など続くはずもない。スキーだ、自然が好きだなどと言っている場合か、帰りなさい―と大もめに。
 そこで、お寺さんが「私がご実家の代理をしますから」などと説得し、彼女はやっと村の花嫁になりました。そして出産になり、入院の電話で私も駆け付け、1日付き添った後、誕生したのがM子ちゃんでした。当時私には男孫ばかりで、女の子のかわいさは3人目の孫を授かったようなうれしさでした。産湯に入れに往復50キロの道を1週間も通ったものです。
 初節句にはケース人形や五段飾りで座敷がいっぱいになり、私たちはちらしずしで楽しい半日を過ごしました。お祝いに集まった近所のお母さんたちにN子さんはすっかり溶け込んで大事にされていました。
 その様子をスナップ写真と手紙にして都会のご実家に送ってあげました。内孫を抱いて晩年を過ごせたK君のお父さん。村の皆の応援団長だといつも陽気な和尚さん…。そしてお母さん代わりの村の奥さんたち。地域のチームワークがつくりだす住みよい村で、N子さんは毎日頑張っているのです。