美容院で私の結婚相談が話題になったということで、きれいになった女性2人がやってきた。お茶を飲みながら3人で話をする。2人は40代後半。事情もそっくりの母子家庭である。いずれも別のスーパーにお勤めで、水曜日の休みも同じだ。先刻までお互いを知らなかったが、美容院から1台の車に乗り合わせて駆け付けたという。
どちらも長子はすでに社会人。末っ子は春から就職も決まり、やっと肩の荷が軽くなったという。
これまで学校行事にもほとんど思うように出られず、子供たちは小さい頃からカギっ子させたが、素直に育ってくれて感謝いっぱい。厳しかった就活も終わり、何とか順調にここまで来れた。一安心であるという。
さて、今度は自分のことをと、若々しく夢を語る。自分たち子供たちの将来の心配の種になったり、邪魔になったりしないよう良策はないものか―。親たちは自身の道をまじめに探そうとしている。「賛成。人生2幕目が面白いのよ」と私はいつもの口ぐせで元気づける。
人生、折り返したばかり。残りの半分をどうするか。やはりじっとしていないで、婚活しよう。自分の手で幸せを引き寄せようという気持ちもある。
その一方で、もうこりごりした。あんな嫌な思い、苦労は二度としたくない。こんなトラウマから解放されずにいる様子もある。よほど傷が深いのかと察することもできる彼女たちの過去。でも広い世の中、やさしくうまの合う人がきっといるはずである。「信じることができる人を探そう。そして80歳にもなるお母さんに喜んでもらいたい」―。そんな彼女たちの気持ちもよくわかる。
そして、今度はお母さんの番、と再婚を応援してくれる子供たちのためにも頑張るという。まだ母の役目は続くのだから、元気で幸せな母でありたいというのだ。
女性の相談が多い。気楽に相談に訪れ、ホッとできるという。口コミで入れ代わり、立ち代わり。こちらはいつも聞き役、なぐさめ役。そして一緒に考える。私の一言が心に響き、元気が出たなどと言われればうれしい。忙しく働く女性の貴重な休みの半日を無駄にしないよう気を使う。
一緒にお茶を楽しみながら幸せづくりのお手伝いができる私も幸せだと思う。
日暮れの町を遠ざかる彼女たちの車のテールランプを見送りながら、さて似合う人は…とパソコンに向かう。