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私のお見合いノートから - がんばれ中高年 -

第10回 人生マイペース -当人同士 楽しい形で-

1996年3月9日 信濃毎日新聞全県版掲載

 仕事帰りにスーパーに寄ると男性の買い物客に注意が向く。単身赴任らしい中年男性、独身貴族らしい青年たちはスーツ姿ですぐ分かる。
 彼たちの買い物ぶりは風のように素早く、いかにもスピード感がある。まさに「働き盛り」を絵に描いたよう。能率よくレジをくぐり車上の人となり夜の町に消えていく。そんな中、初老の方に目が行く。広い店内を行きつ戻りつ、あれこれの前に立ち止まり、手に取ってゆっくり、じっくり吟味、研究に余念がない。
 別に急ぐ必要なんてない。スーパーも八時まで営業。ゆっくりでいい。時折訪ねてくれるIさんと年格好の似た男性にそれとなく注目してるとカゴの中は一口ずつの少量パック。やはり独居の人らしい。
 Iさんは月二回血圧測定に主治医に通う。「やっと道が乾いたのでバイクで来たんだけど寒いの何の、これじゃ血圧が上がって自殺行為だと思いましたよ。春風になるまでバスですなぁー」と言う。
 お茶好き話好きな昭和六年生まれの方。隣町に嫁いでいる娘さんは、今年入学の子供から三人目の赤ちゃんまでを抱え、実家のことまで手がまわらない。
 奥さんを亡くされて、さて落ち着いて見るとやはり食べる事は休めない。書店で「自炊のすすめ」などを買い込み一念発起、「おじいちゃんの料理教室」に通い、包丁の持ち方のイロハから勉強中。前向きに取り組んだら結構気晴らしになり面白く、スーパー通いが楽しくなった。そちらに興味が行ったら終日各局で料理番組を放送しているのには驚いたそうで、いろいろカルチャーショックだと。  私は信毎で連載した「ひとり暮らしの15分料理」を全部切り抜いてあり、手軽に出来るものを選んで三十枚ほどコピーしてあげた。
 温厚なIさんは若かりしころ、大流行の社交ダンスが趣味。知り合いの居ない遠方まで踊りに行く。小太りな体でタンゴを踊るのかとつい西田敏行のCMに重なって楽しい。「二十人の女性に六人の男性」とか。「じゃおもてになるんでしょう?両手に花で…」。「いやわしはバイクだから…車でスーじゃなくちゃダメなんですよ」。その後ドライブ好きな女性をご紹介できた。Iさんはにわかに「企画係兼乗せてもらう人」に変身し、松本城まで行って来た。
 遺族年金の権利も生かし、財産管理のことなどお互いの話し合いで別居、同居、通い型、いずれでも形にこだわらず当人同士楽しい人生が送れるように見守ってあげたいものだ。そうだ!今の中高年はかつてのアバンチュール族なのだ。