昨年の桜のころ、障害年金を需給しているというYさんから中高年だけの出会いのパーティーとはどんなものか一度出てみたいとお電話を頂いた。優しい感じのよい語り口でお会いするのが待ち遠しい思いだった。
当日ははるばる電車を乗り継ぎ出席された。想像通り温厚な上品な紳士で立派な体格の方なのに、十年来の病をいたわりながらの毎日です、とおっしゃって歩行が少々不自由にお見受けした。聞けば敬けんなキリスト教の信仰者。用意の自己紹介書を一同に配った。私はいたく感動した。彼は不自由な中、多趣味で心豊かに前向きに頑張っている。詩や短歌をたしなみ、さらに伝道の機関誌まで発行しているという。
めずらしいのは、チョウの飼育で、自然界では百の卵から一~ニ匹しかチョウにならぬのに、室内で大事に育てると六割とかが成虫になるとか。蛹(さなぎ)に少しでも傷があれば健康体の成虫が生まれない事がはっきり分かったそうで苦労するようだ。
市内の十七の小学校の三年生四十一のクラスに理科の教材としてチョウをプレゼントし、皆に「アゲハチョウのおじさん」と呼ばれ、テレビやタウン誌などに何度も紹介されて有名なんだそうだ。子供たちの喜ぶ顔を思って春から秋まで卵やら幼虫の採集に歩くYさんの姿。彼の人柄のすべてが集約されてるようだ。
やっとやっと探し当てた電話番の仕事に就いて五ヶ月になる。前々からほしかった電気製品の数々、五万円もする立派なガス台などみんな買う事ができた。身辺充実した温かいお正月だったとお電話を頂いた。
一日も長く健康で仕事が続けられますように…雪も少なく、住みよいところと聞いてるが、寒いなか、どうか難儀なく通勤でき、教会に通えて健やかであってほしい。
こんな彼の不自由な足となってより添ってくれるやさしいパートナーが早く現れないものかと、共に願う毎日だ。