早いものでこの道二十年になる。 　実は、子供のころから出しゃばりで、物好きで有名だった私は、自分の事より人の事を優先させる世話好きタイプ。
　おっとりと文学や音楽を好む妹らと混ざればよいのに、一人で元気をとってしまって、と母を嘆かせはしたものの、自分で言うのも何だが、よく役に立つ長女として育った。
　三年ほど民間放送に勤務の後は二男一女の子育てに専念。ところが末娘が園児のころ、うってつけの仕事（？）が持ち込まれた。親しい方が経営する会社で談話室をつくるので、土曜日の午後二、三時間若い社員の話し相手をしてくれないかという依頼。「やりましょう、私でよければ…」と二つ返事でおもちゃ持参の娘を乗せ、片道八㌔のドライブ気分で三年ほど通ったのである。
　秘密は厳守、気楽に自由に利用できるようにという会社の配慮もあって、大勢の人が次々に遊びに来てくれた。寮生活のまじめな青年が特に多く、どちらかと言えば口の重い地味な彼らが話し込むケースが目立ち、今思えばその時のカウンセリングが後々随分役に立った気がする。
　当時の若者の恋の悩みなど、ほんとに純情でかわいらしく、ほほえましい限りだった。片思いを上手に引き合わせてあげたりして、何組ものカップルを成立させた。彼らから今もって年賀状をいただく。チョロチョロしていた娘さんは二十六歳にもなったの？信じられない、懐かしい、と書いてくる彼や彼女たちもすでによき家庭の父や母。中高年たちの親をしているのだ。
　その時の経験が、やりがいがある、私に向いている、という自信になって、この道一筋、長距離ランナーになって走り続けて、今日に至っている。
　現在、中高年の方々からの結婚の相談に応じている。さらに男性専科「センスアップ講座」ゼミを毎月続けている。つまり「よき出会いからプロポーズまで」という結婚相談。講演などに各地へうかがうまでに発展した原点は、実はあの時の経験が基礎になっている。
　間もなく自宅近くにミニオフィスを開き、その後駅近くの分かりやすい所に移転した。ここは花屋さんの階上で四季の花鉢が窓下にたくさん眺められ実に楽しい。時々、駅前のホテルのカリヨンが風に乗って響いて来て、気に入った空間で落ち着ける。
　ここで中高年の方々の幸せづくりのお手伝いに励む毎日だ。